インターネットの活用が進んで、福祉事業所でもホームページを持つということは当たり前になってきました。
しかし、福祉分野においてホームページやWebを上手に活用できている事業所はまだまだ多くありません。
うまくWebを活用することで、ご利用者・ご家族や地域の支援者との接点を増やすことができます。それは、事業所へのお問い合わせの数を増やすことになり、結果的に地域の福祉の充実に繋がります。
ここでは、Web活用の基本と、効果的なホームページの作成・運用方法についてご紹介します。
福祉事業所のWeb活用の考え方
まずはホームページ!
ホームページは福祉事業所の顔となる重要な存在です。
また、XやインスタグラムなどのSNS、チラシなどで事業所を知った場合も、そこからホームページを訪問してさらに情報を得ようとすることが多いです。
ホームページを充実させることには下記のようなメリットがあります。
・いつでもどこからでも情報にアクセスできる。
事業所が開いていない時間帯でも、情報を必要とする方に届けることができます。
・情報量が豊富である。
ホームページのページ数は自由に増やすことができます。 パンフレットなどの紙媒体と比べ、情報を載せる場所に制限がないので、よりくわしく様々な情報を掲載することができます。
・テキスト以外のメディアの活用
文字だけでなく、写真や動画、音声などを使って、より分かりやすく魅力を伝えることができます。
・迅速な情報を届けることができる
最新の情報やお知らせを更新することで、素早く情報を届けることができます。
・幅広い層へリーチできる
若い世代から高齢者まで誰でもアクセスできるホームページは、幅広い年齢層にアプローチすることができます。
・Googleなどの検索エンジンからの流入が期待できる
適切なSEO対策を行うことで、検索エンジンを通じて新たな利用者を獲得する可能性が高まります。
こうしたメリットを活かすためにも、まずはホームページを充実させることが第一歩となります。
SNSは広報・営業担当
Webの活用では、ホームページの他にSNSでの情報発信も考えられます。
X(旧Twitter)やインスタグラムのようなSNSは現在年代に関わらず広く使われるようになりました。そのため、福祉事業所もSNSを活用することに大きな意味があります。
しかし、より効果的に活用するためにはSNSとホームページの役割の違いをきちんと認識しておくことが重要です。
SNS | ホームページ |
・無料でできて、操作が簡単 ・スピーディ ・情報拡散力が強い ・投稿が流れていってしまう | ・慣れていないと操作が難しい ・検索エンジンとの相性が良い ・拡散力はあまりない ・情報を体系的にまとめることができる |
上の図にあるように、SNSは拡散力はありますが、投稿が埋もれてしまいやすいデメリットがあります。それに比べてホームページは情報をストックすることができるため、訪問者が必要とするであろう情報を網羅することができます。
SNSの発信でまずは事業所のことを知ってもらい、ホームページで丁寧に案内することで事業所に対する信頼感や安心感を持ってもらうというように役割分担を意識することが重要です。
福祉事業所のホームページの基本
前項では福祉事業所がホームページを充実させることの必要性・重要性について述べました。ここでは、どの用にホームページを充実させるとよいのかについて触れていきます。
ホームページに掲載するべき内容
福祉事業所のホームページにはどのような内容を掲載するとよいのでしょうか。以下に項目と掲載する時の注意点などを挙げました。
- 事業所の概要と理念
どのような福祉事業所なのかはサイト訪問者がすぐにアクセスできるように分かりやすくまとめましょう。所在地や営業時間などの基本情報はもちろん、事業所の理念や中長期目標などを明示しておくと福祉サービスに対する熱意が伝わりやすいです - 提供するサービスの詳細
福祉サービスは制度に詳しくない一般の方には理解しにくいものです。事業所がどのようなサービスを行っているのか分かりやすく説明しましょう。 - 施設や設備の紹介
通所系のサービスやグループホーム、入所施設などの居住系のサービスの場合は、施設について写真などを用いて説明すると、訪問者の安心感に繋がります。 - スタッフ紹介
福祉サービス利用を検討する方の大きな懸念点は、どんなスタッフがいるのかということです。可能であれば写真などを掲載するとより真摯な姿勢が伝わります。写真の使用が難しい場合でも、所有資格や経験年数だけではなく、仕事に対する想いや趣味など人柄が分かる内容があると親しみやすさに繋がります。 - アクセス情報
所在地をGoogleマップを載せている事業所は多いです。その他に、最寄り駅からの所要時間や、送迎の有無、駐車場の有無など掲載しておきましょう。また、最寄り駅から事業所までの順路を画像付きで説明するなどするとより親切です。 - お問い合わせ方法
お問い合わせ方法は複数用意しておくとよいでしょう。数が多すぎると確認が大変になるので、お問合せフォームと、電話番号とメールアドレスなどのように2~3種類くらい用意しておくとよいでしょう。 - 利用者の声や実績
福祉サービスを利用したご利用者やご家族の声は関心の高いコンテンツです。福祉サービスの利用前後での変化などを紹介するのでもよいでしょう。
ホームページで押さえておくべきポイント
事業所のホームページをより良いものにするには、以下のようなポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 分かりやすい構成と導線設計
ホームページを初めて訪れた人でも必要な情報に難なくたどり着けるような構成にしておくことは重要です。ホームページ上部にメニューを設けて、どのページにもアクセスできるようにする、お問い合わせボタンを目立たせるなどの方法があります。 - アクセシビリティへの配慮
障害者差別禁止法で求められている合理的配慮は、Webでも例外ではありません。Webアクセシビリティを確保することは事業所の義務です。動画に字幕をつける、読み上げ機能に対応している、キーボードだけで操作できるなどサイト訪問者が等しく情報が得られるように対応が必要です。 - スマートフォンやタブレットでも見やすいデザイン
現在ではパソコンよりもスマートフォンからネット閲覧することが増えています。またタブレットの活用も増えました。どのような機器を使ったとしても崩れることなくホームページが表示されているか確認しましょう。 - 定期的な情報更新
ホームページは情報がストックされていくことに大きなメリットがあります。長く運用されていることは訪問者への信頼感にも繋がります。お知らせやブログ記事などを継続的・定期的に更新するようにしましょう。 - セキュリティ対策
ホームページは広くインターネット上に公開されていることから、セキュリティ対策が欠かせません。これを怠ることは会社や事業所の信頼を失うことになります。ID、パスワードを適切に管理することはもちろん、サイトのSSL化やWordPressの更新などの対策が必要となります。 - 根拠のある情報を掲載する
事業所のホームページは、サイト訪問者に情報提供することで、安心・信頼して福祉サービス利用をしてもらうためのものです。掲載する情報の根拠は何なのかを分かりやすく示す、記事の公開日や更新日を明記する、画像はフリー素材ではなく実際に撮った写真を(顔や名前などの個人情報に配慮したうえで)使用するなどで、より信頼性の高いサイトになります。
はじめの一歩、まずはどこから?
福祉事業所のWeb活用においてホームページが重要であり、ホームページにどんな内容を掲載するべきかを述べてきました。
しかし、今すでにホームページがあり、すぐには大幅な変更ができないという場合も多いでしょう。
ここでは、まず手始めにどこから取り組んだら良いかを提案いたします。
お問い合わせができる状態かどうか確認
作ったときからあまりホームページを触っていないという場合、お問合せフォームがいつの間にか機能していなかったということも起こり得ます。
ホームページを見た人がきちん連絡を取れる状態になっているか、テスト送信などで確認しましょう。
各ページの内容を見直す
既存のページ内容が最新かつ正確であるか確認し、必要に応じて更新します。
所在地、電話番号などの事業所の基本情報は丁寧に確認しましょう。また、スタッフ情報やイベント情報等も誤りがないか定期的なチェックが必要です。
お知らせ、ブログ記事等の更新
ホームページのお知らせやブログ欄で、イベント情報や日々の活動報告、福祉に関する有益な情報などは、継続的に発信していきましょう。
定期的に最新の情報を届けることは、サイト訪問者の信頼にも繋がります。また、Googleなどの検索エンジンにもプラスの評価を受けやすいというメリットがあります。
場合によってはリニューアルも検討
ホームページの開設から長く経っている場合には、リニューアルも検討するとよいでしょう。ホームページ制作の技術やデザイントレンドなども移り変わりが大きいことから、今のニーズを把握し直してそれに合わせてリニューアルすることで、より効果的なホームページ活用が期待できます。数万円〜数十万円の費用と制作時間がかかるため、慎重な判断が必要となります。
まとめ
地域密着の福祉サービスにおいても、Webを上手く活用することは重要になってきています。Web活用と大きく括ってしまうと何から手を付けていいのやらと途方に暮れてしまうと思います。
本記事では、まずホームページを充実させていくことを提案しています。そして、ホームページに掲載するべき内容、ホームページ運用にあたって押さえておくべきポイントを紹介しました。
まずは事業所内で何が活用できていて、何が活用できていないのか現状を把握し、予算や時間をかけなくてもできるところから少しずつ改善してみましょう。継続的な更新と改善を心がけることで、事業所の魅力を最大限に伝えられるホームページを目指しましょう。
地域の福祉事業所の取り組みが、ホームページを通じて多くの人々に伝わり、福祉事業所の認知度向上や信頼性の構築、サービス利用の増加、そして地域福祉の充実につながることを願っております。
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