福祉事業所にとって、自社のサービスの価値を広く伝え、利用者や地域とのつながりを深めることは重要です。そこで近年注目されているのが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用です。
しかし、実際のSNS活用では下記のような悩みを抱えがちです。
・自分の事業所に合うSNSはどれを選べばいいんだろう?
・どんな内容の投稿を作ったらいいか分からない、、
・閲覧数がなかなか増えない、、、
・投稿を継続することがむずかしい、、
本記事では、このようなお悩みに対して、福祉事業所がSNSを効果的に活用し、その魅力を最大限に発信するための方法をご紹介します。
主なSNSの特徴について知ろう
SNSと一口に言っても、テキストメインのもの、画像や動画がメインのものなど多種多様です。
ビジネスで主に使われているSNSは、X(Twitter)、Instagram、YouTube、Facebook、LINEがあります。
福祉事業所がSNSを活用して情報発信していく際には、各SNSの特徴を知り、自事業所に合ったものを選んでいく必要があります。以下にそれぞれのSNSの特徴を上げていきます
(参考:https://www.comnico.jp/we-love-social/sns-users)
X(Twitter)
国内月間アクティブユーザー数 6,650万人
20代の若者を中心に、幅広い年代に利用されています。
140字以内という短文のテキストを投稿できるコミュニケーションアプリです。今起きていることをリアルタイムに投稿できること、オリジナルの投稿をリポストすることで自分のフォロワーに広く見てもらうことができる拡散性が特徴的です。
国内月間アクティブユーザー数 6,600万人
画像や動画を中心に投稿するSNSです。10代20代の利用者が多く、女性の利用割合が比較的高いです。視覚的に訴えやすいフード、ファッション、トラベルなどのサービスとの相性が良いです。
YouTube
国内月間アクティブユーザー数 7,120万人
Googleが運営する動画共有サービスで、世界的にもユーザーが非常に多いサービスです。幅広い年代層が利用していますが、XやInstagramに比べると40代以上年齢層でも利用率が高いことが特徴的です。
国内月間アクティブユーザー数 2,600万人
実名登録、1人1アカウント制を特徴とするSNSです。国内では30代後半から40代のビジネス利用が多いです。実名制のため、よりフォーマルな雰囲気の場となっています。広告のターゲティング精度が高いと言われています。
LINE
国内月間アクティブユーザー数 9,700万人
メッセージや通話ができるコミュニケーションアプリです。日本国内の幅広い年代層で使われており、生活インフラとして機能しています。幅広い年代層にリーチすることができます。投稿の公開は限定的なので拡散性は低いですが、LINE公式アカウントを活用してメルマガのように登録してくれたユーザーにコンタクトを取ることが可能です。
福祉事業所がSNSを活用するのメリット
すでに事業所のホームページを設けているケースも多いと思います。この場合でも、SNSは活用したほうが良いのでしょうか?ホームページでお知らせを発信していたら十分なのでは?という疑問を持つ方もいらっしゃると思います。ここで改めてSNSを活用するメリットについて整理していきます。
メリット1:事業所の認知向上
SNSの特徴はその情報が拡散されやすいことと、ホームページに比べて更新が容易であることです。事業所の「今」について情報発信することで、今までよりも多くの人に事業所について知ってもらえるというメリットがあります
メリット2:利用者・家族とのコミュニケーション
SNSで現場のリアルを発信することで、利用者や家族とのより密なコミュニケーションが可能になります。また、利用検討されている方もSNSでの投稿によって詳しい情報を得られることから、より具体的にサービスのイメージを持つことが可能です。
メリット3:スタッフへのプラスの影響
スタッフが自分の事業所について発信することで、自分たちの支援を言語化し、客観的に捉え直す機会にもなります。スタッフ間のコミュニケーションも活性化されます。自分たちがなんのためにどう支援するのかに立ち返ることに寄り、スタッフのモチベーションや支援の質の向上につながることもあります。
事業所でSNSを活用する際の留意点
上記で見たようにメリットが多いSNSですが、活用方法を間違えるとトラブルのもととなることもあります。いずれも用意をしておけば十分防げるトラブルですので、まずはSNSのリスクを正しく知ることが重要です。
セキュリティ対策を徹底する
SNSアカウントのセキュリティが弱いと、アカウントを乗っ取られる危険があります。アカウントが乗っ取られると個人情報の流出や知らない間に身に覚えの無い投稿がされるということも起こり得ます。こうした乗っ取りを防ぐためにはアカウント情報を適切に管理することが基本です。簡単で推測されやすいパスワードは避ける、パスワードは誰にでも見えるところに書いておかない、定期的にパスワードを変更するといったことは徹底しましょう。
個人情報の取り扱いに厳重な注意を払う
許可なく利用者が映り込んでいる写真をSNSに投稿することは個人情報の乱用になります。写真や名前が出ていなくても、個人を特定されるような内容は全て個人情報になります。個人情報の取扱いについて、正しい知識を持って対応できるようスタッフへの教育も欠かせません。
SNSへの投稿目的で写真を撮影する際には、事前に利用者・スタッフに書面で同意をもらうようにします。また、テキストの内容も妥当であるか一人で判断するのではなく、複数の職員でチェックするように事業所内で体制を整えておくとよいでしょう。
SNS運用ルールを定めて、スタッフで共有する
コミュニケーションには誤解のリスクが常にあります。特にSNSでは短いテキストで伝えるため、意図していたのとは違うように伝わってしまうこともあります。SNS投稿作成時には曖昧で分かりにくい内容は避けるべきです。また、投稿後に批判的なコメントが入ったときに対応方法についても、事前に事業所内で定めてルール化しておくと良いでしょう。事業所に非があるところは認めつつも、必要以上に不利な立場にならないように、スタッフ間で統一された対応ができるようにしておきます。
よくある課題と解決策
SNSで定期的に投稿しているけれど、閲覧数もフォロワーもふえない、、、
毎朝の「おはようございます!」の挨拶が単調に続いたり、事業所のランチ紹介だけだったり、、というアカウントが時々見られます。ただなんとなくSNSを投稿していませんか?SNSの投稿自体に慣れてきたら、ぜひ「誰のどんな悩みごとに役に立ちたいのか」を意識してSNS投稿を作成してみましょう。SNSでは「役に立つ情報」が求められています。事業所がどんな人にどんな価値を感じてほしいのかということを整理することで、自ずと投稿するべき内容がブラッシュアップされていきます。
継続的な投稿がむずかしい、、
一つ一つの投稿を作成するのは意外と時間をとられる作業です。事業所内でSNS担当を一人だけだと、そのスタッフの忙しさやモチベーションに左右されてしまって継続的な投稿が難しくなります。逆に担当を決めずに手が空いた人がやるというルールでも、責任が曖昧なので続きません。誰がいつ投稿するのかをきちんと定めて、複数人のチームで役割分担しながらする体制を作ることが重要です。
投稿内容が考えつかない、アイデアが尽きた、、、
事業所のイベントの案内や研修の様子などSNSを広報のように利用するのもとても良いです。ですが、それだけだと投稿内容が代わり映えの無いものになりがちです。閲覧者が知りたいのはもっと現場に近いリアリティを感じられる内容だったりします。支援の最中に見られるちょっとした利用者さんの笑顔はこころをホッコリさせてくれるもので、もっと事業所について知りたくなります。そういった現場のリアルを(もちろん個人情報に十分配慮したうえで)投稿できるように、エピソードや写真がSNS担当に集まるよう事業所内で体制を整えておくとよいでしょう。
批判的なコメントが来た、炎上した、、、
SNSで投稿できる文章は短文です。また、閲覧者はその投稿だけを見ていて、その前後の文脈は把握していないことがほとんどです。事業所側にそのつもりがなくても、意図せず閲覧者が悪く理解して批判的コメントを入れるということは起こります。批判コメントが集まっていわゆる炎上と言われるような事態になってしまった場合は、まずはなにより冷静になることです。感情的になって批判コメントに対して同じ温度感で議論してしまうと事態は収拾から遠ざかります。冷静になって、客観的事実の把握に努めます。事業所側に非がある場合は逃げずに誤りを認め、事実と異なることについては淡々と真摯にそのことを説明する。地道ではありますが、これを繰り返していくことが炎上を収める一番の近道です。
SNS活用の効果が感じられない、、、
SNSでの定期的な投稿ができており、フォロワーも閲覧数も十分に増えてきているけれど、それ以上の効果が感じられないこともあるかと思います。このような場合、せっかくSNSを見てくれているユーザーをお問い合わせまで誘導できていないことが考えられます。SNS→ホームページ閲覧→お問い合わせやSNS→LINEでの個別やり取りなどのようにSNSを見たユーザーが次の行動に繋げられるように「詳しくはホームページへ」「お問い合わせはこちら」のように誘導することが必要です。
SNSを始めるための簡単な5ステップ:
まず、なんのためにSNSを活用するのか、主な目的を言語化して、事業所内で共有しましょう。
例:サービス内容の周知、利用者募集、地域との連携強化
目的とターゲット層に合わせて、1-2のSNSプラットフォームを選びます。
Instagramは視覚的な訴求に、Facebookは地域コミュニティとの連携に適しています。
事業所名、ロゴ、サービス内容の簡単な説明を設定し、プロフィールを完成させます。
週に2-3回の投稿を目標に、月間の投稿予定表を作成します。
支援内容、イベント、利用者の成長などのテーマを設定しましょう。
事業所紹介から始め、計画に沿って定期的に投稿を行います。
利用者のプライバシーに十分配慮しながら、活動の様子を共有していきましょう。
まとめ
SNSは、福祉事業所の魅力を広く伝え、地域社会との絆を深めることができる強力なツールです。ですが、地域で福祉事業所のSNS活用はまだまだこれからの状況です。
準備や投稿作成に少なくない手間やコストはかかりますが、継続的にSNSで情報発信をすることのメリットはそれ以上に大きなものです。
SNS活用に迷っていたり、必要性は感じているけれどなかなか始められていない事業所様が一歩でも進めるようにお手伝いもしております。お気軽にご連絡ください。
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